「平成28年度兵庫県歯・口の健康に関する図画・ポスターコンクール」においては、県下ほぼ半数の地区の小学生より、総数1,438点の作品を応募いただきました。毎年、恒例のコンクールですから、地区によっては学校の教育活動の一つとしてしっかり定着している感があります。最近は、図画工作科の授業時数の削減等により、教材の精選が図られ絵画製作の機会が減少していますが、上述したような応募状況をみますと、このコンクールの教育的価値を高く評価されている保護者や先生方も少なくないようです。また、応募された作品をみますと、どれも一生懸命に描かれており、学校の授業として、或は夏休みの課題として熱心に取り組んだ子供たちの姿が想像されて、大変嬉しく思いました。そのため、出品作は確かに見応えのある作品に仕上がってはいますが、発想や構想の観点から言いますと、ステレオタイプのものも多く見られ、少し残念に思いました。大人や昔の作品のコピー的なものではなく、自分らしい発想や構想、子供らしい創造的な技能が発揮された作品づくりを、大いに期待するところです。
さて、審査では、歯・口の健康に関して、作者がどのようなことを願い、どのような思いを伝えたいのかを念頭に、その発想・構想力、熱意や技能等を中心に協議しました。その子らしい発想のよさや面白さ、構図の大胆さや意外性、色彩の美しさやバランス、キャッチコピーの工夫に注目するとともに、最後まで「心を込めて」描いているかといった態度面にも着目しました。モチーフとしては、例年どおり、歯を磨く姿や歯科検診の様子を描いたものが多かったのですが、見る人に感動やインパクトを与えるためには、これまでにはない視点や切り口を考えてみることも必要でしょう。同時に、低学年は自分の感覚で思いのままに、高学年は自分の感性を大切にして形や色や構図を自分なりに工夫して描くことが大事です。そのためには、指導者や保護者は、口や手を出すのではなく、子供がのびのびと思いのままに表現できるよう環境を整え見守ってあげることが大切だろうと思った次第です。
今年も、多くの力作が集まりましたが、その製作過程で子どもたちや関係者の方々が、歯・口の健康について考えたり対話したりしながら、熱心に取り組まれた様子が伝わってきました。このような貴重な機会を毎年提供し続けて頂いている主催者の皆様方には心より感謝申し上げますとともに、このコンクールを通して歯や口に対する子供たちの健康意識がより一層はぐくまれ強化されることを心より祈念しております。 |