救急蘇生 ~緊急時の対応ができる歯科衛生士を目指して~
8月21日(水)に3年生(53回生)は市民救命士講習を受講しました。今年は記録的な猛暑日が続く暑い夏でしたが、前日までの2日ほど雨が降ったせいか、当日は酷い暑さには悩まされずに受講することができました。この講習は神戸市が「市民救命士」を養成するために神戸市消防局(市民防災総合センター)から本学院に指導員を派遣していただき実施しているものです。講習会の種類は3コースあり、その中の1つ「普通救命コースⅠ(3時間)」を受講しました。1回の講習定員が30人となっているため56人の学生を午前午後の2グループに分け、各々5人の指導員の先生に来校していただき実施しました。
講習会は、最初にDVD「救急車が来るまでに」を使用して、呼吸や心臓が停止した時に必要な電気的除細動(電気ショック)を含めた応急手当などを学びました。その後事前に決めていたグループに分かれ、テキストを使用しながら各グループの指導員の先生(市民防災総合センター市民防災係研修員)による、より具体的な講習と実践が行われました。指導員の先生がたは、実際にご自身の経験された救命救急のコツや大切なポイントを学生に体験談を交えながら、分かりやすく丁寧に説明してくださり、一刻を争う事態で冷静で迅速な対応と実際に行う勇気が現場ではどれほど重要であるかというお話には、学生たちも真剣に耳を傾けていました。そして、実習は必ず全員が実践することになっており、少し照れくさそうに声が小さい学生もいましたがマネキン相手にしっかりと声を出して周囲に呼びかけ、胸部圧迫やAED を用いた心肺蘇生法を実践しました。
さて、現在人口構造が変容する中で、国はこれまでの病院診療を中心とする医療のあり方を変え、高齢のかたが住み慣れた地域で最後まで自分らしい生活を続けられるように、“地域包括ケアシステム”の構築を推進しています。それに伴い歯科の在宅医療、訪問診療も増え続け、緊急時の対応は歯科衛生士にとって不可欠です。
この講習で学んだことは医療従事者だけではなく、今では誰にも求められる人命救助かもしれません。しかし、歯科衛生士を目指す学生たちには、さらに高いレベルで考え行動できるように、私たち教員もどんな時でも冷静で正しい判断と勇気ある行動ができる学生を育てていきたいと思います。
(専任教員 篠原 理恵)