臨床に触れる ~歯科用チェアユニット取り扱い実習~
53回生(1年生)が初めて歯科用チェアユニットに触れ学ぶことができるのが、チェア取り扱い実習です。本校の第3実習室には歯科用チェアユニットが20台設置されています。臨床に携わった経験のない学生が多い中、8月にはタカラベルモント株式会社とデュールデンタルジャパン株式会社のかたに、9月には株式会社モリタのかたにお越しいただき、チェアの操作方法や清拭方法を、実習を交えて教えていただきました。
デュールデンタルジャパン株式会社のかたからは、ドイツの厳しい基準に沿って感染管理を徹底した清拭方法や配管清掃システムなど、医療人となるうえで重要な知識や方法を教えていただきました。現在51回生(3年生)は臨床実習中であり、その中で指導歯科衛生士から清潔・不潔の概念が理解できていないと指導を受けることがあります。普段の生活で何気なくしている仕草が、医療現場では時と場合によって不潔な行為となるからです。例えば落ちた物をとっさに拾おうとしてしまったり、器具を右から左に動かす場合でも清潔・不潔を考える必要があります。3年生は今、毎日奮闘しながら頑張っていますが、まだまだその感覚が十分に養えていないため注意を受けることがあります。スタンダードプレコーションの「全ての患者の血液・体液(汗を除く)・排泄物や粘膜、創傷皮膚などを、感染のリスクがあるものとして扱い体内へ病原体が侵入しないように対策を行うこと」の認識を持ち、その感覚を養っていくことが非常に大切だと思います。1年生にとって、清拭方法を学ぶこの実習が、その最初の第1歩ではないかと思います。
タカラベルモント株式会社、株式会社モリタのかたには、チェア電源の場所や操作パネルの1つ1つの機能や、バキューム、スリーウェーシリンジなど臨床現場では自分の手足同然に動かすこととなる、機器の操作方法を教えていただきました。実際に動かしてみることで、思うように動かすにはどうしたら良いのか、ライトの光が目に当たると思っている以上に眩しいことや、スリーウェーシリンジでスプレーを出したりバキュームを引いてみたりと、真剣に取り組んでいました。
これから学内でも相互実習が徐々に始まっていきますが、術者と患者双方の安全のために、正しい知識と取り扱い方法を身につけて欲しいと思います。また、今回の実習を通して学んだ感染対策や機器操作は、歯科衛生士を目指すほんの入口にしか過ぎませんが、歯科衛生士となる実感が湧く実習だったのではないかと思います。ぜひこの実習を今後に役立て、そして患者さまの気持ちが理解できる歯科衛生士になって欲しいと願っています。
(専任教員 岩城 万希子)