歯と口の健康週間 〜小集団指導を通して〜
本学院では例年、歯と口の健康週間にあわせて小集団指導を行います。本年度も2年生(52回生)は6月1日から6月22日まで、保育所(園)・幼稚園、認定こども園、小学校、特別支援学校、高齢者施設、川西市・西区歯科医師会のイベントで実施させていただきました。歯科衛生士の三大業務の1つである「歯科保健指導」は、1年次に歯科衛生介入として各ライフステージの一般的特徴と口腔の特徴および歯科保健行動について学び、口腔衛生指導・食生活指導について習得します。そして2年次の小集団指導では歯・口腔の健康の担い手として、適切な支援の必要性を理解したうえで、原稿作成から視覚教材に至るまで、全て学生が手作りで行う実習です。5月の学内発表では表情も硬く、暗記した原稿を思い出すのに精一杯でしたが、本番に向けて反省点を出し合い、準備を重ねてきました。
幼稚園班は動物や兵庫県歯科医師会のイメージキャラクターである「でん太」君を用いた人形劇を実施しました。初めの頃は園児や児童のたくさんの反応に答えながら臨機応変に進行することに苦戦していましたが、興味を惹きつける工夫や大人数にも分かりやすい媒体の見せ方など、園の先生がたから具体的なアドバイスをいただき、翌日には改善させていました。
小学校班はドラえもん・ポケットモンスター・ちびまる子ちゃん・名探偵コナンなど例年人気のキャラクターでペープサートを行い、発達段階に応じた健康教育を意識して歯磨きの大切さや正しい食習慣について伝えました。1年生はう蝕感受性が高い第一大臼歯の清掃方法、3年生はNewbrunの輪を用いたう蝕発病因子について、5年生はう蝕の進行や歯肉炎について説明をしました。養護教諭の方からはストーリーに引き込む導入のあいさつや、抑揚のつけ方、集中力を継続させるための指導法についてご教授いただきました。
高齢者班はサザエさんの人間劇を通して、義歯の機械的清掃や化学的清掃の方法、誤嚥性肺炎について説明し、オーラルフレイル対策として口腔機能向上を目的としたパタカラ体操をご紹介しました。楽しんでもらうだけでなく、理解していただくためにどうするべきか、施設の特性を理解し、利用者の自立度もできるだけ把握しながら指導するように心がけました。
日を追うごとに学生たちは対象者を目の前にして表情も引き締まり、指導開始前の少しの時間でも何度も読み合わせをしている様子や、昨日までの反省をもう一度確認し合っている姿は頼もしかったです。引率させていただいた私たちも熱心に聞いてくださった皆さまから沢山の笑顔やパワーをいただき、臨地実習の重要性を改めて実感することができました。新型コロナウイルスの終息がまだまだ見通せない状況下で、このような貴重な機会をいただきました全ての関係者各位に感謝すると共に、これからも教員一同全力で学生指導していきたいと思っています。
(専任教員 山下由佳)