歯周病予防処置 ~知識・技術習得のカリキュラム~
本学院では、「歯周病予防処置」という科目で歯周病予防に関する知識と技術の習得を行います。特に歯科衛生士が日常的に歯科診療で使用するミラー・ピンセット・エキスプローラー・プローブに加え、手用スケーラー・パワースケーラーなどは訓練を重ねます。
1年次は、総論・各論で歯周病予防処置についての概要を学んだ後、マネキンを使用して基礎的なインスツルメントについての知識に基づき技術の習得に励みます。各自で購入したマネキンの取扱いもメーカーのかたにお越しいただき、講義を受けます。このマネキンは、多くの学生が卒後も練習用に使用しています。そしてシックルスケーラー・キュレットスケーラーの訓練では、器具の特徴・操作方法の講義演習を行い、それぞれ実技試験を実施します。いずれも講義演習は約2カ月程度を要し、皆、演習時間のみならず自宅や放課後などを利用し、自主練習や教員チェックを受けながら合格します。そして2年次には、この1年次の訓練を相互実習として実践します。学生は、規定の時間内で指定した部位の操作がスムーズに行えるよう各自事前学習を行い、教員が確認し演習に臨みます。初めは、感染対策も考えながらの演習のため動きはぎこちなく、口腔に触れる恐怖と緊張で予定通りの術式を実施できないこともあります。しかし回数を重ね、毎回演習後の教員とのまとめや実習帳作成で施術を振り返り、患者役で経験した不快や不安を次にどう活かすべきかを考え学びを深めていきます。そして、その集大成として3年次の4・5月の2回に渡り、入学したばかりの1年生を1人担当する「1年生指導」という演習を行います。この1人の担当患者を持つことは、将来の歯科衛生士像を明確にでき、その後に控える臨床実習本実習のモチベーションにも繋がるものです。
さて、2020年は突然訪れた新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言などにより本学院でもさまざまな対応を強いられました。特に学生同士で口腔に触れる相互実習に関しては、リスクマネジメントの構築が難しく、例年通り実施することが困難でした。しかし、本年度は昨年度の経験より学生の学びを維持するための対策を考え、相互実習も実施できるよう工夫し、臨みたいと考えているところです。
このように短い期間ではありますが、学生たちは日々訓練を重ね、3年目には先輩として最も身近な素敵な歯科衛生士像を後輩へ見せてくれます。私たち教員もその成長する姿を嬉しく思うと同時に更なる成長をサポートできるよう努力して参りたいと思います。
(教務副主任 肥塚美奈子)