介護福祉論 ~VE(嚥下内視鏡)実習~
本学院では、修業年限3年制移行を機に、今後の歯科衛生士に求められる現場力を習得できるカリキュラムとして「介護福祉論」という科目を新設しました。そして、数多くの講師の先生がたにご尽力いただき、現在に至るまで2年次の9月頃から60時間に亘るご講義や実習を行っております。中でも新設時から中心となってくださっているのが、尼崎市でご開業の医療法人村内歯科医院・院長の村内光一先生です。また、そのスタッフである歯科衛生士や先生ご紹介の他職種の先生がたです。
村内先生は介護福祉論の意義や目的など核となるご講義を担当してくださいます。そして同医院から近年、講師としていらっしゃっている齋藤知子先生と共に、最終講義に必ず行ってくださっている実習が、「VE(嚥下内視鏡)実習」です。これは鼻腔から細いマイクロスコープをのどに挿入し、咽頭部の形や動きの状態を映像化し直接観察できる検査ですが、村内先生自ら被験者になってくださり、齋藤先生とアシスタントとして中村歯科衛生士が鼻腔からマイクロスコープを挿入し、実際に咽頭を観察したり、飲食物を嚥下してくださり咽頭を食物が通過していく状況を観察し、残留の有無などを観察させていただきます。村内先生は被験者であるだけでなく講師として、マイクロスコープを挿入時も映像を見ながら、その状態を説明してくださり、本当に学んで欲しいことをどのようにすれば学生たちに興味を持たせ、理解できるかを考えご講義・実習をしてくださっており、学生たちは「摂食嚥下の過程」を学ぶだけではなく、食べることの大切さをより深く理解できるとても貴重な時間となっております。
さて他職種の講師の先生がたはというと、看護師をはじめ、言語聴覚士・理学療法士と各専門分野の目線で歯科衛生士と連携するために必要な知識から実技まで、ご講義・実習をしてくださいます。ご講義では、学生たちが理解しやすいように先生がたの貴重な実践の様子を動画で見せてくださったり、歯科衛生士教本にはない資料をご準備してくださり、学生たちも関心を持ち聴講しています。実習では、車イスやベッドを使用しての実技訓練やオムツの特徴・交換などを実際にオムツを使用して学びます。また、トロミ剤入り飲料の体験や食事介助も学び、介護現場でも即戦力となれる歯科衛生士を育成してくださっております。
このような介護福祉論での知識や実技修得は、2年制の時代にはなかったものです。しかし今ではこのVE実習まで実習することができるようになったことは、そこにかかわってくださる先生がたの歯科衛生士を目指す学生たちへの熱い思いの現れだと感じ、感謝いたすばかりです。学生たちがこの学びを今後の臨床現場でしっかり活かし、社会に貢献できるよう私たち教員も講師の先生がたのように教育への熱意を持ち続け、指導して参りたいと思います。
(教務副主任 肥塚美奈子)