矯正・センター見学実習 ~見学から学ぶこと~
陽射しも暖かさを増し、春を感じることができるようになった3月、本学院2年生はこの1年間で学んだ臨床科目のまとめとして、また3年生の臨床実習本実習に向け、矯正専門医院とセンターで見学実習をさせていただきました。この見学臨床実習は、矯正専門医院2日とセンター1日の合計3日という非常に短期間ですが、貴重な実習です。学生たちは2年次に臨床科目を学ぶことで、歯科衛生士という専門職に対し、より理解を深めていきます。その中でも専門性の高い分野である矯正歯科と高齢者歯科や障害者歯科は、実際に臨床の場で学ばせていただくことで見聞を広め、理解を深めていくことができます。
実習に行かせていただくにあたり事前課題として「矯正」ならびに「障害者」と題し、各々の実習で最低限必要な知識をプリントにし、関連教本・講義資料・ノートなどを使用し各自調べ、冊子状に綴り仕上げていきます。これは短時間で効果的な学びを得るために行っているもので、実習中には実習着のエプロンのポケットに入れ、わからないことがあれば直ぐに確認できるようにしています。もちろん実習中に新たに得た知識は、その冊子に追加記入し、臨床実習本実習や国家試験でも使用できるようにもしておきます。矯正専門医院での実習は、昨今多くのかたがたが口腔への関心を高め、より審美性を求めるようになり、学生も興味を持つ者が増加しています。とはいうものの、矯正歯科では使用する材料や器具器材の種類は多く、実際に使用している所を見なければ中々理解し難い分野です。またセンターでの実習は、患者やご家族とのコミュニケーションをはじめ、治療に至るまでの訓練や診療時のアシスタントワークなど、これもまた実際に対応されている所を見ること、自分自身で経験することが重要です。
実習を終え帰校してきた学生は、ひと回り成長し、反省会で1人1~2分程度の時間ではありましたが、3日間で学んだことを自分の言葉でまとめ、全員の前で発表しました。矯正専門医院では、「1つずつ丁寧に説明していただき、教本では区別できなかった器具の名称と用途が理解できた」「歯科衛生士の役割の多さに驚いた」など。またセンターでは、「患者だけでなく、家族とのコミュニケーションの取り方や関わり方を学んだ」「静脈内鎮静麻酔下での治療を実際に見学することができ、とても勉強になった」など、真剣な表情で述べており、有意義な実習であったことが私たち教員にもよく分かりました。
毎年3月という1年間でもお忙しい時期に、多くの学生たちを見学実習で受入れてくださる実習先の先生がた、指導歯科衛生士のかたがたには深く感謝いたします。見学実習は、実際に実習させていただく時よりも視野を広げ、落ち着いて学ぶことができる良い機会です。今回の実習で学んださまざまなことを活かせるよう、足りなかった知識と技術の再修得を行い、臨床実習本実習への準備を行って欲しいと思います。私たち教員もそのサポートをしっかり行いたいと考えています。
(教務副主任 肥塚美奈子)