障害者施設・高齢者施設実習 ~5年目を終えて~
本校の3年生は、開業医・病院・センターでの臨床実習を終えた直後の11月から臨地実習として、障害者施設・高齢者施設で各10日間の実習を実施しています。この臨地実習も開始から5年目となり、実習施設側からも実習生とはいえ、将来の歯科衛生士に望まれていることが年々多くなっていることを実感しています。10日間の実習では、まず、障害者や高齢者のかたがたと時間を共有し、日常生活に触れることにより障害を持つ人々や老年期の特性を理解するようにします。
障害者施設では昼食後のブラッシング指導の実施や媒体を使って集団指導を行うことにより、口腔衛生への動機づけ、習慣づけを図ります。個々の障害はさまざまで一種類の指導では行動変容に繋がらず、何度か指導を見直す必要があります。対象者の不自由な部分をしっかりサポートできるような方法を学生なりに一生懸命考えて指導にあたっています。
高齢者施設では要介護高齢者の口腔機能の向上と QOLの向上に必要な口腔のケアの技能を習得します。そのためには、情報収集を行い、アセスメントに基づく口腔ケアプランをたて、実施していかなければなりません。10日間という短い期間ではありますが初日と最終日の口腔内の変化を目の当たりにし、多くの学生が今までにない喜びを感じたようです。ここ数年は食事前の摂食・嚥下体操を実施しておられる施設も多く、初日に見学させていただき2日目からは学生が担当させていただく施設も増えてきました。
この臨地実習には、指導衛生士として障害者歯科・高齢者口腔のケア経験者を実習先の施設に派遣し、学生指導をお願いしています。また各施設の看護師や介護士、指導員の先生など多職種のスタッフから学ばせていただくことも多く、コミュニケーション能力や介護力、人間力まで成長して帰ってくるように思います。実習後の反省会ではほとんどの学生が、貴重な経験をさせていただいた素晴らしい実習だったという感想を述べていました。
3年生はもう間もなく国家試験を受験し、いよいよ卒業を迎えます。現在、歯科衛生士の活躍の場はどんどん広がっています。これらの実習の経験をもとに、患者さまの立場に立って考え、配慮ができる優しい歯科衛生士になり、春から臨床の場で活躍してくれることを期待します。
(教務主任 小村照代)