近年、がん治療を受けられている患者さんにおいて、周術期に包括的な周術期等口腔衛生管理が行われています。病院でがん治療を受け、退院後も継続した口腔管理を行うためにかかりつけ歯科医院へ通院されるケースは多くあります。 その中でも、口腔がんや頭頸部がんの治療後の患者さんでは、口腔内や咽頭に術後の変化などで、嚥下障害を抱えて退院されることも少なくありません。 入院中に、嚥下訓練などを実施され経口摂取ができるまでに回復され退院されることがほとんどですが、手術前のような通常と全く変わらず食事や会話ができるまでに回復しているわけではありません。このような患者さんは、口腔内環境の変化などで口腔内の可動域が減り、経口摂取したものが、患側に残留するなど口腔内の清掃状態が悪化することも考えられ、より一層の口腔衛生管理が必要となります。 このような日常生活から誤嚥予防などが必要となっている患者さんが、歯科医院に来院された際、安全に口腔管理を行う必要があります。また、がん患者さんだけではなく、高齢患者さんなどでも、誤嚥のリスクのある患者さんが来院されるケースがあり、そのような誤嚥のリスクのある患者さん全般に安心安全な口腔管理は必要です。 当科では、以前より嚥下に問題があり水平位での口腔衛生管理が難しい患者さんは、歯科ユニットを倒すことなく、患者さんは座位、術者は立位の状態でのスケーリングなどを実施しています。患者さんの体位、術者の位置、バキュームの位置など工夫し、通常の水平位でのやり方とは違い、できるだけ口腔内に唾液や水を溜めないよう注意払い口腔衛生管理を行っています。そこで、今回は当科で行っている、患者さんが座位で口腔衛生管理を行う実際の光景などを含めた、具体的な口腔衛生管理の方法についてお話させていただきます。
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