歯牙スケッチ 〜歯の形態を理解するために〜
本校では1年次の夏季休暇課題として口腔解剖学から歯のスケッチ課題を出しています。事前に口腔解剖学の新須磨病院小林正樹講師と歯をスケッチする部位や流れについて打ち合わせを行い、国家試験の出題傾向や例年の学生の理解度などを参考にしながら授業の進行に合わせて6月の早い段階でまずは歯牙模型(永久歯28本・乳臼歯片側DE4本)とスケッチ冊子の配布や資料の説明を行っていきます。毎年、歯牙模型を配布された学生は最初のうちはこれで何をするんだろうと模型を手に取り、じっくりと観察しながら不安と期待の入り混じった様子でざわつくのですが、夏季休暇課題になること、確認テストを行うことを説明し、描き方の練習のために1本の歯のスケッチを描き始めると真剣な表情で模型とスケッチとにらめっこして集中しています。右側の永久歯を配布された学生は永久歯14本と左側の乳臼歯4本をスケッチし、左側の永久歯を配布された学生は永久歯14本と右側の乳臼歯4本をスケッチすることになります。
Webexを使用した講義の中では講師が歯の特徴やスケッチのポイントをとても詳しく教えてくださったり、Webカメラを通して模型の細部を見せてくださることで、学生は少しずつスケッチができるようになっていきます。また、スケッチを通して視覚的に理解するだけでなく、国家試験対策につなげていくためにも教本から歯牙の特徴をまとめていきます。学生が夏季休暇後に提出した冊子は後日講師にチェックをしていただいています。
夏季休暇が終わり9月の授業が始まると、歯の形態を理解できているのかを確認するために専任教員がテストを行います。テストの1つ目はペーパーテストで時間制限のあるなか、歯の名称から歯式、歯式から歯の名称へ変換を行います。これは歯科衛生士なら簡単にできることなのですが、1年生には少し難しい問題のようで漢字を間違えたり、上下左右を間違えたりしてしまいます。そして2つ目は永久歯模型の並び替えテストを行います。並び替えテストでは永久歯模型28本をバラバラにして10分以内に正しい位置に並べなおします。歯科衛生士として歯の形態を理解しておかなければならないため1本の間違いも許されません。合格できるまでマンツーマンで専任教員がサポートし繰り返し練習させ、再度確認テストを行っています。1年次はマネキン実習がメインとなるためまだ口腔内は見ていませんが、このように早い段階から模型を通して歯の特徴を知ることにより他の科目の講義内容ともリンクして知識を深めることができ、スケッチや歯牙模型に触れることで楽しみながら覚えていくことができているのではないかと思います。
私は本校の卒業生ですが、このスケッチ課題はとても印象に残っている課題です。最初は平面的にしか描けず本当に難しかったのですが、提出しては返され、何度も何度も書き直していくうちに上手に立体的に描けるようになり、自分でも知らない間に自然と歯牙の形態を理解できるようになりました。学生が確実に知識を身につけられるように熱心に教えてくださる講師に深く感謝すると共に、私たち教員も精一杯努力していきたいと思っています。
(専任教員 篠原理恵)