口腔解剖学 ~歯牙スケッチ・歯牙選択~
本学院では、3年間を通して講師の先生がたが、基礎・専門分野の講義だけではなく実習を折込み、学生たちの理解を深めるための工夫をしてくださいます。今回はその中で口腔解剖学の「歯牙スケッチ・歯牙選択」についてご紹介いたします。
口腔解剖学は、歯科衛生士にとって必要不可欠な基礎知識として、入学直後から学習する科目の1つです。例年、1年次の4月からスタートし講義回数も15回と多く、約5カ月にわたり「口腔」について徹底的に学びます。本年度もコロナ禍ではありましたが、講師の小林正樹新須磨病院歯科口腔外科医長のご理解とご協力を得ることができ、4月の休校が明けた5月から早々にWeb講義を開始し、例年と大差なく講義を進めることができました。中でも歯の解剖学については、講義で得た知識を教本上、平面で理解するだけではなく、立体的に理解し即臨床でも判断できる力を習得するため、①歯牙スケッチ②歯牙選択の課題および試験を実施します。①歯牙スケッチは、配布したスケッチ冊子に小林先生のご講義を受講した内容や教本、資料をまとめ、特徴などを記入することと平行して、左右側どちらかの上下永久歯14本、永久歯とは反対側の上下乳臼歯4本の唇頬側面、舌口蓋側面、近心隣接面、遠心隣接面、切縁側・咬合面の5面を模型歯で観察し、教本を確認しながらスケッチします。6月に説明し毎回講義に持参し各自進め、夏期休暇課題として完成させ提出後、先生に採点していただきます。②歯牙選択は、歯牙の正式名称⇔歯式に書き換える筆記試験と模型歯を使用し、28本の永久歯をプラスチックプレートに上下左右、頬舌面も正確に並べる実技試験を行います。模型歯は学生に1セット貸出し、各自で自主練習し9月初旬に試験を実施します。本年度も実施し、残念ながら不合格の学生がおりましたが、合格するまで教員と「練習・確認・試験」を繰返し覚えていきますので、必ず全員が合格します。
さて口腔解剖学を理解することは必要不可欠な基礎知識と申しましたが、技術の習得にも必要です。それは、エキスプローリング・プロービング・スケーリングなど歯科衛生士が日々の施術時、特に歯肉縁下の施術では術部が直視できないため、ここで習得した歯の解剖がイメージでき手指の感覚を鋭敏にすることができれば、安全かつ効率的な操作ができるようになるからです。
このように歯科衛生士になるためには、多くの知識と技術を習得しなければなりません。どの科目も講師の先生がたの創意工夫なさった講義を受講することで「0」であった知識は着実に積み重ねられます。私たち教員は、講師の先生がたの実習サポートをいたすと共に、学生たちが興味関心を持って学習できる環境作りを行い、コロナ禍でも学生たちが学習の場を失うことのないようにいたしたいと思います。
(教務副主任 肥塚美奈子)